I’s LIVE REPORT
9月 28, 2023
The world is xxxx except for loving you
9月14日(木)WWW X
あの率いるバンド・I'sのワンマンライヴ〈The world is xxxx except for loving you〉が9月10日に大阪・Live House Anima、9月14日に東京・WWW Xで開催された。EP『永遠衝動』のリリースを記念して行われたこのツアーでは、あのが最近愛用しているグレッチの140周年“ダブルプラチナ”記念モデル「G5622T-140 ELECTROMATIC® 140TH DOUBLE PLATINUM CENTER BLOCK WITH BIGSBY®」(以下:G5622T-140 Electromatic)が絶大な存在感を放っていた。東京公演の模様をレポートする。
きらびやかなコードの響きが、メロディに豊かな色彩を添えるG5622T-140 Electromatic
SEが鳴り響く中、ステージに登場したあの(Vo)、中山卓哉(Gt)、キッチン前田(Ba)、畝狹怜汰(Dr)を迎えた大歓声。早くも熱気で包まれた空間で演奏の先陣を切ったのはあのだった。
G5622T-140 Electromaticをストロークしながら1曲目「Don’t@me」を歌い始めると、他のメンバーの演奏も合流。エネルギッシュなアンサンブルがステージ上で瞬く間に構築された。フワフワしたトーンでありつつも、芯に熱いエモーションを湛えた歌声を自らの手によるギターサウンドで彩るのは、あのにとっても堪らないほどワクワクできる体験なのだと思う。2曲目「悪の花瓶」でも、ギターを弾きながら歌う彼女の姿が眩しかった。G5622T-140 Electromaticのチェンバードスプルースセンターブロックを備えたダブルカッタウェイのボディは比較的軽量で、ステージ上でもプレイアビリティが高い。ボディバックがパールプラチナム、ボディトップがストーンプラチナムのコンビネーションによる140周年モデルならではのスペシャルなカラーリングは、ステージライトを浴びるとひと際美しく輝く。「ギターを持っていると強くなれる気がする」という旨を語るインタビューを読んだが、このギターは彼女に絶大な自信を授ける相棒になっているのだろう。3曲目「不毛戦争」でも雄々しいサウンドを奏でる彼女が観客の心に火を点け、フロアを激しいタテノリで震わせる風景が壮観だった。「DON't COMMIT SUICIDE」「僕の春」「あなろぐめもりー。」も披露されたあとに迎えた小休止。
「いろんな人がいる中で、いろんな事件だったり出来事がある。正直、前を向いて生きていこうっていうのは難しい世の中だなぁと僕は思うんですけど、それでもI'sの曲が誰かしらに届いて、誰かしらがその曲を持って明日を迎えられるような、そんな曲になればいいなぁと思って曲作りをしています。次の曲も誰かの…全員じゃなくてもいいんですけど、誰かの心に届くといいなと思ってます」
そう語ってから歌い始めた「プール・サイド・スーサイド」も、G5622T-140 Electromaticと彼女の歌の相性の良さを感じた。メイプルボディが生むきらびやかなコードの響きが、メロディに豊かな色彩を添えていくのが気持ちいい。続いて「背中」でもメンバーたちのサウンドに包まれながらギターを弾き、一心に歌う彼女の姿に引き込まれずにはいられなかった。
「一瞬なんで。I'sのライヴはまじで。フラッシュバックとして思い出してもらえるライヴを楽しんでいきたいと思います。ここからですけれども、楽しんでいけますか? 今日、めちゃくちゃいいよ、みんな。まだまだ行けるよな? どっちが勝てるか勝負だな」
あのが観客を煽ったあと、怒涛の勢いで強力なナンバーが連発された。「夢る夢る」「Dancing a 論理」「アンダーすたんど--You!」「きるみーべびぃ」…いても立ってもいられなくなった人々によるクラウドサーフが度々起こるフロアの熱気がものすごい。本編は「永遠衝動」で締め括られたが、歓声と手拍子に応えた4人がすぐにステージに戻ってきた。
「『永遠衝動』というEPを出しまして、その中の1曲はアイドル時代の最初の頃から書き留めていた歌詞で。希望の光とかを求めている自分が未だにいて…。いろんなことを成し遂げていったとしても、それはこの先も変わらないんじゃないかなと。この曲は歌い続けたいなと思ってます」という言葉が添えられた「青虫」は、印象的だった曲の一つとして思い出される。理不尽なことばかりが降り注ぐ世界で、懸命に生きる姿を伝える歌声が、耳を傾けた観客の心を鼓舞しているのを感じた。
アンコール2曲目「はっぴーえんどろーる」を披露し、一旦はステージを後にしたI'sの4人。しかし観客の興奮はまったく収まる気配がなく、ダブルアンコールが行われた。
「ありがとう。欲しがりだね。ラストやって帰ります。むちゃくちゃになります。みんなもむちゃくちゃになって帰ってください!」
G5622T-140 Electromaticを手にしたあのが観客に呼びかけ、ラストに届けられたのは2回目の演奏となった「永遠衝動」。ギターを掻き鳴らしながらあのがダイブすると、フロアの熱気は急上昇。ギターを外して再度ダイブすると、観客の上を漂いながらシャウトする彼女の声がバンドサウンド全体をさらに昂らせる。もはやステージとフロアの境目はなく、会場全体がすさまじいエネルギーの塊と化していた。
「サンキューベイベー、I'sでした!」と挨拶をしたあのが手を振り、メンバーとともにステージから去ったあと、会場内には清々しい余韻が漂っていた。全身全霊で歌声を響かせ、奏でるギターに感情を込めるあの。全力の演奏を交わしながら輝き合う中山、前田、畝狹。この4人によるI'sは、生々しいエネルギーを目一杯に体感させてくれるロックバンドだ。活躍の場が今後も着々と広がっていくことを確信させられるライヴであった。
【SET LIST】
- Don’t@me
- 悪の花瓶
- 不毛戦争
- DON't COMMIT SUICIDE
- 僕の春
- あなろぐめもりー。
- プール・サイド・スーサイド
- 背中
- 夢る夢る
- Dancing a 論理
- アンダーすたんど--You!
- きるみーべびぃ
- 永遠衝動
ENCORE
- 青虫
- はっぴーえんどろーる