INORAN(LUNA SEA) Special Interview -後編-

4月 21, 2022


 

グレッチが存在しないギターの世界は考えられない

 

INORANと言えばフェンダーのJazzmaster®️がトレードマークだが、1996年頃から使用しているグレッチもまた彼の壮麗なサウンドスケープを描く上で重要なファクターだ。SPECIAL INTERVIEWの後編では、彼の代名詞とも言える奏法“アルペジオ”とグレッチの相性、グレッチの魅力、そして今年ソロ活動25周年を迎える彼の今後の展望について聞いた。

 

グレッチは閃きにフィットしてくれる

 

― INORANさんのプレイスタイルで言うと、“イノペジオ”という言葉があるぐらいクリーントーンでのアルペジオが特徴的ですが、グレッチはいかがでしょうか?

INORAN 巻き弦(4〜6弦)の音はすごく独特ですよね。それでアルペジオを弾くと、ピックの当て方や強弱も変わってきますから。ガツッと巻き弦を弾きたい感じになりますね。細い弦も決して音が細いわけではないので。あと、倍音がすごくソリッドです。だからこそ、ロカビリーの人たちが弾くんでしょうね。倍音はうまく混ぜないと、アンサンブルで邪魔をする場合があるので。

 

― 箱モノなのでハウリングを気にされる方が多いと思うのですが、大きいステージではどうですか?

INORAN ハウリングは起きますけどプレイでカヴァーします。そのハウリングでさえもサウンドに変えるようなプレイというか、ハウリングも取り込むようなイメージですね。

 

― どれも改造はしていないのですか?

INORAN いじっていないですね。オリジナルのままです。

 

―今はTennessean、Gブランド、White Falcon、Silver Jet の4本をお持ちですが、他に狙っているものは?

INORAN 全色! やっぱり好きなものは揃えたくなるので。でも、流石にキリがないですね(笑)。

僕にとって、ギターの使い方って「閃き」なんですよ。グレッチも「閃き」にフィットしてくれるギターなんですよね。だからすごく魅力的なんです。

 

Inoran Special Interview D

 

楽器は未だに夢を見続けられる相棒

 

― 話は変わりますが、ソロ25周年を迎える2022年はどんな展開を?

INORAN いろいろです(笑)。

 

― 去年から今年にかけて行われてきたソロでのビルボード公演では、大人なサウンドを追求していましたが…。

INORAN 今、次のアルバムに向けて曲を作っているのですが、この後プリプロに入ろうと思っています。今は無限にアイデアが出てきている状態なので、それを紐解きながら作っている感じです。サウンド的には、ちょっとアコースティック寄りだと思うんですけど。

 

― ビルボードのステージを見る限り“アダルトINORAN”な感じでしたけど。

INORAN アダルトって言い方はなんかやらしいけど(笑)、そういう方向性です。でも、バンドスタイルのライヴもやるだろうし、まぁいろいろなことをやるんじゃないかなと思います。

 

― 改めて、ソロ活動25周年ってすごくないですか?

INORAN よくやっているなぁと。生涯リリースしたアルバムの枚数がハンパないんですよ。LUNA SEA、Tourbillon、FAKE?、Muddy Apes、ソロ活動もありますから。

 

― 全部で何枚くらいですか?

INORAN わからないです。参加している作品も入れたら、アルバムで50枚近いと思います。

 

― すごいです!

INORAN すごく幸せなことですよね。アルバムを出せることもそうですし、興味が湧くものが近くにあることにも感謝です。それは間違いなく楽器も含めて。楽器は未だに夢を見続けられる相棒です。僕の奏でる音楽に触れた人が、長くそう思えるようなものであってほしいと願っています。

 

― グレッチはどんな人にオススメでしょうか?

INORAN グレッチはすごく右脳に直結するようなギターなんです。だから丁寧に弾くといよりは…もちろんグレッチプレイヤーが丁寧に弾いていないわけではないですけれど、感情とかノリの武器になってくれるギターだと思うんです。感覚派の方にとても向いていると思います。

 

― では最後の質問です。INORANさんにとってグレッチとは?

INORAN 刺激をくれるメーカーであり、ギターであり、地球上になくてはならないメーカーですよね。フェンダーももちろんそうだけど、グレッチが存在しないギターの世界は考えられないと思うんです。

 

― ありがとうございます。それにしても改めて、JazzmasterとWhite Falconという見た目も立ち位置も真逆のギターが似合うINORANさんは稀有な存在だなと。

INORAN いやいやいや、まだまだ全然ですよ。

 

― ギターも大事ですが、プレイヤーに華があるかどうかも大事なんだなぁと。

INORAN そういうのは自分じゃわからないですよね。そもそも“俺に似合うな”と思って持っていないので(笑)。ただ、グレッチのギターはカッコいいです。ヘンな話、部屋に置いておいてもインテリアとして映えますからね。

 

前編はこちら

 


INORAN

ロックバンドLUNA SEAのギタリストとして1992年にメジャーデビュー。1997年よりソロ活動をスタートさせ、Muddy Apes、Tourbillonなどでも精力的な活動を展開。2010年にはフェンダーとエンドースメント契約を締結し、翌年に日本人アーティスト初のシグネイチャーモデル「INORAN JAZZMASTER® #1 LTD」を発売。その後も2013年に「INORAN JAZZMASTER® #2LTD, Masterbuilt by Dennis Galuszka」、2015年に「INORAN ROAD WORN® JAZZMASTER®」、2017年にはソロ活動20周年を記念した「INORAN ROAD WORN® JAZZMASTER® 20th anniv. Edition」、2019年には「INORAN JAZZMASTER® #1 LTD」をMADE IN JAPANラインで再現した「INORAN JAZZMASTER」など、多くのシグネイチャーモデルが発売されている。

http://inoran.org