チバユウスケ(The Birthday)Special Interview -後編-

12月 8, 2021


シグネイチャーモデルを作って本当に良かったかもしれない

 

咆哮のようなヴォーカル、切り裂くようなギターカッティング、地を這うようにうねるグルーヴ。90年代、その圧倒的なサウンドとカリスマ性でロックシーンに風穴を開けた伝説的バンド“THEE MICHELLE GUN ELEPHANT”。そのヴォーカル&ギターであり、ミッシェル時代からグレッチを愛用し続けているチバユウスケにスペシャルインタビューを敢行。インタビュー後編では、現在のメインギターである彼のシグネイチャーモデル「G6119T-62TB-YC Yusuke Chiba Tennessee Black with Bigsby」について、そして若きギタリストたちに向けてメッセージをいただいた。

 

いい音がするよ。レコーディングもずっとこれだね

 

― 普段からギターは弾いていますか?

チバユウスケ(以下:チバ) 弾いているよ。でも練習はしないのよ。したほうがいいんだろうけど。

 

― 家で弾くのは曲作りのために?

チバ そうだね。あとは何となく。

 

― 酒がないのとギターがないのと、どちらが落ち着かないですか?

チバ 酒。

 

― (笑)。グレッチのシグネイチャーモデル(G6119T-62TB-YC Yusuke Chiba Tennessee Black with Bigsby)のこだわりを教えてください。

チバ 黒の色味とグレッチのロゴかな。いわゆる現行品とは変えたくて。

 

― サウンド的な部分で言うと?

チバ 音はTennessee Roseに近いね。もうちょいバリーンと鳴るけどね。

 

― Tennessee Roseを元にしているのですか?

チバ そうだね。俺がメインで使っていたTennessee Roseを解体して、それに近い音を再現しています。グレッチの工場にも行けて面白かった。

 

― 初のシグネイチャーモデルはどんな気分でしたか?

チバ 実はずっと断っていたんだよ。俺はいわゆるギタリストじゃないからさ。ヴォーカルが弾くギターだから。そんなことを言ったらエディ・コクランもそうなんだけど、あの人はギターソロを弾くじゃん。“そういうのじゃないんだよ”って、ずっと声を掛けてくれたグレッチの人に断っていたの。だけど、ずっと声を掛け続けてくれて、“まぁ黒で作るんだったら”ってことで。解体してパーツを測定したり、全部やってくれたんだよね。グレッチ本社の社長から手紙が来たり、あれは嬉しかったね。

 

― 今はシグネイチャーモデルがメインですよね?

チバ うん。いい音がするよ。レコーディングもずっとこれだね。だからシグネイチャーモデルを作って本当に良かったかもしれない。これが1号機なんだけど2号機もあって。面白いもので、2号機のほうが少し軽めの音なんだよ。

 

― さすがに酔っ払ってこの1号機を投げることはない?

チバ もうないね。酔っ払ってステージに上がらなくなったから。

 

Yusuke Chiba D

相棒でもあるし永遠の憧れ。まぁ美しいギターですよ

 

― コロナ禍でギターを始めた人も多いですが、ビギナーにアドバイスをお願いします。

チバ ビギナーの人に? 未だに俺はビギナーだよ。本当に。永遠のビギナーだから。バリーン!と鳴らせるだけだもん。だからさ、まぁ思いきり弾けばいいんだと思うな。細かいことを気にしないで、ジャーンって弾けば楽しい!っていうノリでいいんだよ。あとは、今はコロナ禍も落ち着いてきてスタジオも使えるようになっているから、エレキを買ったら街のスタジオに入ってさ、アンプに通してバリーン!てデカイ音を鳴らしてみたら楽しいんじゃない?

 

― チバさんにとって、その瞬間は未だに楽しい時間なんですね。

チバ そうだね。自分で鳴らすのも楽しいし、The Birthdayだったらフジケン(フジイケンジ)がバーン!って鳴らした時も楽しい。

 

― 他に代わるものはない?

チバ うん。やっぱり俺はギターバンドが好きだね。それしかできないんだと思う。そうじゃないことも、一応ソロではやっているけどね。

 

― ソロプロジェクトもどんどん進化していますか?

チバ そうだね。進化なのか退化なのかわからないけど(笑)。あれはあれで楽しいよ。“こうやったらこういう音が出るのか”って発見もあるしね。ソロは全部一人でやっているからね。

 

― ギタリストとしてチャレンジしたいことは?

チバ 音色に関してはいろいろと考えたりするけれど、ギタリストとしてではないかな。例えば今だったら、レコーディングとかライヴでフジケンが“こういう音で作りたい”と言ってきた時に、“そう来るなら俺のエフェクターはこっちかな”とか、ギターに関してはそんな感じだね。特にバンドに関しては歌わなきゃいけないし。

 

― そうですよね

チバ ギターよりも歌をちゃんと考えていかないと成り立たないので。

 

― 歌いながらだと、できることの制限もありますし。

チバ そうなんだよ。面倒くせぇんだよ(笑)。パパッとエフェクターを踏まなきゃいけないし、マイクまで戻らなきゃいけないとか。

 

― 若い世代でギターを始める人が増える中、どういう方にグレッチをオススメしたいですか?

チバ 本人が“これ!”と思うかどうかが大事なんじゃない? 例えば楽器屋でもいいし、ライヴで誰かが使っていたでもいいけど、やっぱり好きなアーティストが使っているギターが欲しいって最初は思うと思うよ。それでいいと思うけどね。別にグレッチを選ばなくてもいいと思うし。あ、全然質問の答えになってないね。

 

― (笑)。

チバ 別に人は選ばないんじゃない? とは言え若い子はなかなかグレッチに手を出せないからな。だってローンとか組めないでしょ。憧れの存在であってもいいかもしれないね。憧れや夢があるのは大事だからさ。

 

― 今日はグレッチのコレクションを見させていただきましたが、チバさんにとってグレッチとは?

チバ 相棒みたいなもんだね。相棒でもあるし永遠の憧れ。まぁ美しいギターですよ。こうやって並べてもらったのは初めてだからすげぇ嬉しいな。あとで写真撮っていい?

 

 

前編はこちら

 


チバユウスケ

68年、神奈川県出身。91年、ロックバンドTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを結成。96年、シングル「世界の終わり」でメジャーデビュー。2003年のバンド解散後、ROSSO、THE MIDWEST VIKINGS、Midnight Bankrobbers、Star Casino、The Birthday、THE GOLDEN WET FINGERSといったバンドやユニット、ソロプロジェクトSNAKE ON THE BEACHなどで活動。現在、全国ツアー〈The Birthday『SUNBURST TOUR 2021』〉を開催中。

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