yutori Special Interview -前編-

7月 3, 2026


グレッチは“ギターは生き物であってほしい”という僕の願望に応えてくれてる

2020年12月結成の4人組ロックバンドyutori。佐藤古都子(Vo,Gt)による力強くカリスマティックなヴォーカルを武器に結成当初から注目を集め、今年はKT Zepp Yokohamaを含む全国9都市での自身最大キャパのワンマンツアーを成功させたばかり。今回は、彼女と内田郁也(Gt)の2人に、グレッチに対するイメージや新製品Electromatic Premier JetElectromatic Jetのインプレッションをたっぷり聞いたのだが、内田の解説の巧みさを受け、急きょ文字数を増やすことになった。本機への理解がきっと深まるはずだ。

 

― グレッチに対する印象はいかがですか?

佐藤古都子(以下:佐藤) 私はWhite Falconを2年近く弾いているんですけど、これは世界一美しいギターと言われている1本だし、自分の中ではグレッチイコールWhite Falconというイメージが強いですね。

 

White Falconを手にしたきっかけは?

佐藤 最初は、スタッフの方に“White Falcon、似合うんじゃない?”って言われて楽器屋さんまで見に行ったら、美しすぎて惚れちゃって…っていうのがきっかけです。その前で言うと、椎名林檎さんの曲で〈グレッチで殴って〉っていう歌詞を見た時に、“グレッチって何だろう?”って。最初はフライパンみたいなものを想像してたんです(笑)。でも調べてみたらギターメーカーで、“ああ、そういうのがあるんだ”って思ったことを覚えてます。

 

― そういう人は多いかもしれないですね。

内田郁也(以下:内田) 僕の中では箱物の印象が強くて、White Falconを筆頭に、柔らかいというか、温かみのある音が出るイメージだったんですよね。ロックではあるんですけど、ソリッドな音が出る感じではないというか。あと、これも勝手なイメージなんですけど、自分よりも年がひと回りくらい上の方々がよく使ってるように感じてて、だから自分はこれまで触れてこれなかったし、名前だけずっと知っているメーカーでした。

 

― 今回、お2人には2本のギターを弾いていただいていますが、インプレッションを聞かせていただけますか? 佐藤さんが選んだのはElectromatic Premier Jetです。

佐藤 今、ライヴや制作のサブで使っているものに比べると重くないですね。このギターは肩もあまり疲れないし、何より握りやすいんですよね。私はすごく手が小さいから、ネックが太いと弾きづらいんです。あと、何よりビジュが好きです。

 

― どんなところに惹かれたんですか?

佐藤 ヘッドまで木目調なのがいいなと。最近、木目ギターって色気があるなって思ってるんですよね。

 

― 一方、内田さんにはPremier JetJet、両方弾いていただきました。2本とも印象を聞かせてもらえますか?

内田 Premier Jetに関しては、僕はエボニー指板というのをあまり弾いたことがなくて、これまでずっと硬い指板だと思ってたんですけど、太い音の時にどう作用するんだろうと思ったら、ボワってする部分が意外とタイトに締まってくれるというか、音が塊で出てくれている感覚があって。その理由としては、ピックアップの性能もあると思うんですけど、指板の素材のおかげもあるのかなと。

 

― なるほど。

内田 あと、Premier Jetはハイフレットがすごく弾きやすいですね。僕は19とか20あたりのフレットをよく弾くタイプなので、そういう点でこのタイプの形のギターはあまり適してないことが多かったんです。でも、Premier Jetを弾いてみて、“こういう形のギターでもこんなに弾けるものなんだ!”って本当にびっくりして。コンパウンドラディアス指板が採用されているとは聞いていたんですけど、それがすごく衝撃的でした。あと、Premier Jetはローカットスイッチ(Lumen™ Filter)が付いていて、バッキングでクランチで弾く時とか、リードフレーズを弾く時にオンにすると不必要なボワボワを消せたり、すごく噛み合いが良くて。何より、リードのプレイングにすごく合ってると思います。さっき古都子も言ってたように、重いとライヴ中に動きづらかったりするんですけど、これなら全然弾けます。もっと早く出会いたかったですね。

 

Jetはどうですか?

内田 こっちは指板がローズウッドだったり、自分が今まで弾いていた仕様に近いこともあって、使いやすさを感じました。しかも、リアとフロントをコイルスプリットスイッチで変えるだけでキャラに変化が起こっていろんなプレイングができるし、音作りの幅広さも感じます。自分はプレイングというよりも音作りに凝るタイプなので、ハイフレットの弾きやすさでいうとPremier Jetのほうが上なんですけど、レコーディングや制作でさまざまな音を試したい時にはJetの幅の広さが合ってると思いました。ローズウッドの指板も、エボニーとかメイプルに比べて素材自体が柔らかい印象でいろんな音に適応できるし、シングルにコイルスプリットできる仕様にすごくマッチしていると思います。まとめると、ライヴに特化したPremier Jet、制作に特化したJet、という感じですね。

 

― そして、散々迷った末に最終的にPremier Jetの色が気に入ったと。

内田 このブルーっぽい色。今、この部屋に飾ってあるのと全然色が違うから、別の色なのかなと思ったら同じなんですよね。

佐藤 今は紫に見えるね。

内田 そういうところも含めて、自分が今まで触れてこなかった衝撃的な部分が詰まってるのがPremier Jetだなと。

 

― 自分たちのどんな曲に合うと思いますか。

佐藤 けっこうブリッとした「ヒメイドディストーション」みたいな曲とか、逆にけっこう重たい「安眠剤」みたいな楽曲にも合いそうだなと思いますね。下を支えてくれるけど、ベースの帯域とも被らないようなニュアンス感が出そう。バンドで合わせるのが今から楽しみです。

内田 僕はリードのプレイングなので、Jetはフロントをシングルにして、リアをハムにするセッティングが一番しっくりきました。そのセッティングであればどの曲もいけると思います。

 

― なるほど。

内田 あと、古都子がギターを弾かない「H@BREAK」という曲があるんですけど、これはけっこう重ためな曲なので、その時はハムにしたらいけるなと。逆に、Premier Jetは太さに特化しているので、歌とぶつかりにいって“どっちが勝つか!?”くらいな感じで音を作れると思います。「スピード」という曲もサビでずっとオクターブで動いてることが多いので、今までよりもパワーのある支えができるのはPremier Jetなのかな。

佐藤 でも、最終的には見た目が勝つ。

内田 そうなんだよ。紫なのか青なのかっていうツヤ感が本当に良すぎて。

佐藤 これはかわいいよね。照明が当たったら映えるよ。

内田 そうそうそう。ライヴでの照明がやばいなと思って。全然違うギターなんじゃないかってぐらい変わる。

佐藤 それは楽しみだね。

 

Yutori B

 

― では、お2人がギターに求めるものは何ですか?

佐藤 私は、ビジュアルと音の温かさは大事にしたいですね。あと、弾いた時の余韻がどれくらい自分の中に残り続けるか。

内田 俺も近い部分はあるんですけど、ロマンと温かみかなと思います。音楽でよく言う“温かみ”ってすごく抽象的じゃないですか。自分も最初はよくわからなかったんですけど、倍音の出方だったり、音の揺れ方みたいな部分ってすごく生き物っぽいなって。だから、精巧な作りも大事なんですけど、アナログに近いものがいちばん感動できるし、そこがギターのロマンなのかなと思ってます。さっきはいろいろとギターの構造や仕組みについて話しましたけど、やっぱり一発鳴らして感動できる音が出るギターが一番いいのかな。

 

― そういったことも踏まえて、グレッチの魅力って何だと思いますか?

内田 今まで弾いたどのギターよりも温かみを感じます。ハイテクな作りですごくいろんなことができるギターなのに、音にめちゃくちゃ人間味を感じるというか。ハムバッカーって出力が強いので、ものによっては弾き手の音が再現されないことも多いんですけど、グレッチのハムバッカーのギターは自分の出したいと思った音がちゃんと出てくれて、人間のコントロール力をしっかり再現してくれる。指板も仕様によって変えられたり、握りやすさやハイフレットが弾きやすいという部分も、人が弾くことを第一に考えて作られてるんだなと。“ギターは生き物であってほしい”という僕の願望に応えてくれてる感じがすごくします。そういう意味で、弾き手に寄り添ってくれるギターだし、グレッチのそういうところに感動しました。

佐藤 確かに、郁也が言ったように、グレッチのギターは温かみをすごく感じるし、自分は2年弱の間、グレッチを見たり触るたびに、楽器の向こうに人がいるなって感じるんですよね。抽象的な言い方にはなりますけど、音からも人からもぬくもりを感じるギターだと思います。

内田 ライヴで弾きたいって強く思うのもそこが大きいのかな。

佐藤 この温かさは生で聴いてほしい。

 

Yutori C

Electromatic Premier Jet

 


yutori

2020年12月7日、東京にて結成。佐藤古都子(Vo, Gt)、内田郁也(Gt)、豊田太一(Ba)、浦山蓮(Dr)からなる4ピースロックバンド。結成直後に音楽投稿プラットフォームEggsへ公開した「ショートカット」がランキング4部門を制覇し、鮮烈なデビューを飾る。日常に潜む痛みや切実さを、佐藤の激しくも儚い歌声で描いた楽曲が同世代を中心に支持を獲得。2022年にはドラマのタイアップ曲「モラトリアム」でインディーズバンドとして異例の注目を集め、〈JAPAN JAM〉〈METROCK〉など大型フェスにも出演。2025年4月、TVアニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミアILLEGALS-』エンディングテーマ「スピード」でKi/oon Musicよりメジャーデビューを果たした。

https://www.yutori.jp/