おとぼけビ~バ~ Special Interview -後編-

7月 31, 2026


今オモロイと思ったことをずっとやっていきたい

それぞれの個性を武器に、唯一無二のアンサンブルを鳴らす京都発のバンド“おとぼけビ~バ~”。グラストンベリーやコーチェラへの出演、オアシスやレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、6月にはフー・ファイターズのオープニングアクトなど、国内外で注目を集める4人組だ。インタビュー後編では、あっこりんりん(Vo)、よよよしえ(Gt)、ひろちゃん(Ba)、れお(Dr)の音楽の原体験やプレイヤーとしてのルーツを紐解き、そのサウンドの源泉に迫る。

 

 

― 音楽に目覚めたきっかけを教えてください。

ひろちゃん(以下:ひろ) 母親の影響で小学生の頃からピアノをやっていて、中学では吹奏楽部、高校では軽音部に入って、卒業後にバンドを組んだので、ずっと音楽と関わりがある環境でしたね。ベースを始めたのは完全に成り行きで、本当は軽音部でドラムをやりたかったんですけど、友達がドラムを始めたから“じゃあ私はベース弾くか”みたいな(笑)。

れお 両親がいつも車の中で、サザンオールスターズ、ユーミン(松任谷由実)、ザ・ビートルズ、マイケル・ジャクソンをかけていたので、音楽がある環境で育っていたんですけど、自分がやりたいとは思ってなくて。幼い頃からクラシックバレエをやってたので、大学ではバレエのサークルに入ったんです。そうしたら上の階の部室から楽しそうな音が聴こえてきて、軽音サークルにも入りました。結局、音楽のほうが楽しくなっちゃって。私も、最初はドラムをやるつもりはなかったんですけど、バンドを組む時にドラムがいないからやってほしいと言われて“うん”って(笑)。

よよよしえ(以下:よしえ) 私の家はみんなと真逆で、親がずっと絵を描いていたり一緒に美術館に行ったりと、音楽のない世界で過ごしてました。でも、あるときTSUTAYAでたまたま銀杏BOYZとかパンクのCDを手に取ったんですよ。そしたら、出音一発目がドカン!と来て。“うわ、これも音楽!?”となって、そこから日本語のロックンロールを聴くようになりました。ゆらゆら帝国も大好きで、今も坂本慎太郎さんが一番好きです。で、進学先をどうしようと思った時に、立命館大学にくるりがいたRock Commune(ロックコミューン)ってサークルがあると知って、“ここなら何かできるかもしれない”と思って入って、ギターを始めました。

 

― あっこさんは、子どもの頃にギターを弾いていたんですよね。

あっこりんりん(以下:あっこ) 父親に教えてもらったんですけど、最初に弾かされた曲がザ・ベンチャーズの「パイプライン」で。幼稚園児にインストですよ(笑)。弾けへんから怒られて、“もう嫌!”ってなりました。

全員 (笑)

あっこ 家にはギター部屋があったし、父親のバンドのライヴにも行ってたから、音楽はめっちゃ身近で。でも音楽好きになったのは、父にCDを買ってもらってからですね。小学生の時はJ-POPをCDプレーヤーで流しながら一緒に歌って、それをカセットテープに録ってました。

 

― その頃から歌うのが好きだったんですね。

あっこ そうですね。で、中学になってお姉ちゃんとカラオケに行って、初めて大きい声を出した時に、普段と全然違う“歌用の声”が出たんです。お姉ちゃんも“うまいやん!”ってビックリして。それで、歌ってみたいと思うようになりました。ただ、高校の軽音部では交代でヴォーカルをやることになって、歌わない時はギターを弾かなあかんことになったんです。ホンマに練習しなくて、メンバーに駅に呼び出されて怒られたりしました(笑)。その時、コピーって私じゃなくてもいいから面白くないなと思って、オリジナル曲をできるロックコミューンに入った感じです。

 

― そしてロックコミューンでよしえさんと出会い、おとぼけビ~バ~を結成したと。

あっこ はじめはギターを使って曲を書いてたんですけど、よしえに私の作ったリフを弾いてもらうと、全然違うものになるんですよ。よしえだけの音になるから“これが才能か”って思いました。じゃあ、私はギターを弾かんでも大丈夫やなって。

よしえ その頃からクセしかなかった。

 

― その頃からギタリストとして個性があったんですね。ビギナー時代の練習方法も伺いたいです。

よしえ 今も自分のことをビギナーと思ってるんですよね。練習も全然しないですし、ギタリストに対する憧れもないほうで。ただ、出したい音は明確にあるので、それは今のバンドで再現できてます。

 

― コピーはやっていましたか?

よしえ いや、ほぼやったことがないんですよ。サークルに入った時に1曲披露しないといけなくて、NUMBER GIRLをやったぐらいで。

れお 私もロックコミューン出身なんですけど、先輩方に居酒屋で割り箸を使ってドラムを教えてもらってました(笑)。ウィーザーやニルヴァーナのコピーもしたんですけど、早い段階でオリジナルのバンドを始めて。だから練習というよりも、どんなリズムを叩こうとか、曲作りのほうに頭を使ってたかもしれないです。

ひろ 逆に、私はコピーが大好きで。ザ50回転ズ、↑THE HIGH-LOWS↓、Janne Da Arcとか、コピーをひたすらやってましたね。教則本の『地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ』を家でずっとやるとか、地味な練習も好きでした。あと、385のMIYAさん(ZAZEN BOYS、BLEACH)を見て、スラップってカッコいいと思ったんですけど、やり方がよくわからなくて。好きなベーシストの音だけを聴いて自己流で真似してたので、今も変な弾き方な気がします。

 

― ギター/ベースを弾く上で、挫折したことはありますか?

よしえ マジで好き勝手やらせてもらってるんで、挫折とかはないですね。しかも、バンドはおとぼけビ~バ~しかやったことがないんで、そのぶん挫折もないという、ありがたい話で。

ひろ 私はスラップも速弾きも苦手です。得意な人に聞いても、根性論しか言われないし(笑)。だからメロディが崩れない程度に弾き方を変えてみたり、得意なやり方でカバーしてますね。挫折は置いといて、好きなところを伸ばすっていう考え方です。

あっこ 曲を書く時も、みんなが弾いてるところをイメージして、強みやクセを活かしてます。ずっと一緒にいるから、どんなんが得意で苦手か、なんとなくわかるので。まあ、苦手なことをやらせたりもしますけど(笑)。

ひろ (あっこは)クセを伸ばしてくれるタイプ。

あっこ うちらが他のバンドと違うって思ってもらえるのは、誰かの真似ではなく、メンバーのクセや私のクセを一つの音楽にしてるからですね。

 

― 今後の展望を教えてください。

よしえ 今は先の未来も見えるようになってきてるんですけど、“自分たちが面白いと思うものをやりたい”というのは、ずっとブレずにあって。そのスタンスで、これからもやっていくつもりです。

ひろ 挫折をやめようかなって思います。もう一回、真っ向から根性論に向き合ってから諦めようかなって(笑)。それで、プレイヤーとしてできることの幅が増えたらいいなって思いますね。

れお 私は今年の4月に正式メンバーとして加入させてもらって、今一緒に曲を作ってる状態なんですけども、ライヴやレコーディングの回数をどんどん重ねて、みんなとグルーヴを合わせて、新しいものを作っていけるのがすごく楽しいです。新しいおとぼけビ~バ~の形を一緒に作っていけるのが嬉しいですね。

あっこ れおさんは、サポートの頃からの1年で40曲近く覚えていただいたので。しかも、私らの曲ってホンマにメンドくさくて、テンポとかも全部私の中で決まってるんで、一つ間違えると違うものになっちゃう。

ひろ しかもそれを、日によって合わせなあかんから。

あっこ ライヴ中の私に合わせてもらうしかない。ホンマなら“もうやってられるか!”っていうのを、れおさんはニコニコやってくれてる。

ひろ だから、“挫折しない”はれおさんから学んでるんですよ。

あっこ それはあるね。れおさんがこんな頑張ってるんだから、私もやらなって。それもあって、インタビュー前編で言ったように、今新曲をめっちゃ作ろうと思ってる。展望で言うと、バンドをやめたくない、音楽で生きていきたいっていうのはまずあるんですけど、曲を作るのが一番好きなんで、制作意欲を絶やさず持っていたい。お客さん的には“昔の曲のほうがいい”とか、そういうのもあると思うけど、私が今オモロイと思ったことをずっとやっていきたいって。

 

― では、楽器やバンドをやりたいと思っている読者に、メッセージをお願いします。

ひろ 楽器は見た目で選ぶこと、それだけですね。見た目が気に入ったらどんどん弾くようになるんで。

れお とにかく楽しんでください! 楽しむことが一番。

よしえ まずは好きな音を鳴らしてみてください。バンドをやるんだったら、スタジオではアンプのボリュームとゲインをマックスに上げて、そこからメンバーに文句を言われないところまで下げる(笑)。思いやりを持つことが大事ですから。

ひろ 散々、“音デカい”って言われてきたから(笑)。

あっこ 私は“ブレるな”かな。“ここは譲れへん”、“絶対外したらあかん”ってところがあって。なんか、自分の中で“こっちやな”って光が見えるんですよね。“何か違う”、“しっくり来ない”みたいな感覚というか、それを大事にしてます。それでもわからん時は、メンバーに相談します。

ひろ まず自分の軸を探すところからだよね、きっと。

あっこ 完成してなくてもやるっていうのは、大事かも。私も“軸”は繰り返しやって失敗しながらできてきたので。とりあえず世の中に出さないと見てもらえないし、完璧なものを求めるとその間に時間がどんどん過ぎていく。だから批判されても、とりあえずやる。それで反応を見てまた変えていく、みたいな。それが私なりのやり方かもしれないですね。

 

Otoboke B

写真左:ひろちゃん(Ba)Electromatic CVT Bass Double-Cut
写真右:よよよしえ(Gt)Electromatic Jet

 

 


おとぼけビ~バ~

“セックス・しば漬け・ロックンロール”をモットーに、関西弁スラングとパンクで世界を蹴散らす京都発の4人組バンド。メンバーは、あっこりんりん(Vo)、よよよしえ(Gt)、ひろちゃん(Ba)、そして2026年4月に正式加入したれお(Dr/元少年ナイフ)。2009年、くるりらを輩出した立命館大学の音楽サークル『ロックコミューン』で結成。2016年に英Damnablyと契約して以降、〈SXSW〉〈Coachella〉〈Glastonbury Festival〉へ出演し、2024年にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズの北米ツアーに帯同。2025年はアイドルズ、グリーン・デイ、ジャック・ホワイト、フー・ファイターズ、オアシスら来日公演のスペシャルゲストを次々と務め、その勢いのまま2026年6月からフー・ファイターズの欧州ツアー〈Take Cover Tour EU/UK2026〉6公演にも招かれた。

https://otobokebeaver-kyoto.jimdofree.com/