高橋響 Cody・Lee(李) SPECIAL INTERVIEW -前編-
1月 9, 2025
自分の中の“グレッチと言えばこれ!”というイメージがTennessee Roseだった
多彩な楽曲と独特の世界観で注目を集めるCody・Lee(李)。ポップス、ロック、シティポップの要素を融合させ、現代の音楽シーンに新たな風を吹き込む彼らを支えるのが、フロントマン高橋響のギタープレイだ。その卓越した技術とセンスが、楽曲の奥行きを生み出し、バンドの魅力をさらに引き立てている。今回、グレッチのスペシャルインタビューに登場した高橋は、音楽との出会いや、愛用するTennessee Rose(※)、そして試奏したElectromatic® Jack Antonoff Signature CVT Double-Cutへの印象を語った。前編では、高橋自身の音楽的ルーツやギターへの想いを紐解いていく。
─ 高橋さんは、どんなきっかけで音楽に目覚めたのですか?
高橋響(以下:高橋) 一番大きなきっかけは、やはり両親の影響ですね。父と母は渋谷のとあるライヴハウスでバイトをしていて、そこで出会って結婚したんです。そういう環境だったので常に音楽が身近にありましたし、自然と音楽を始めるようになりました。
─ 好きな音楽や影響を受けたジャンルは?
高橋 母は、僕がお腹にいた頃からビョークをよく聴いていたらしく、今でも彼女の音楽を聴くと不思議な気持ちになります(笑)。父はドアーズが大好きで、ビョークとドアーズは自分の音楽のルーツとして深く根付いていると思いますね。
─ すごい英才教育ですね(笑)。楽器を始めようと思ったきっかけは?
高橋 小6の頃だったと思うんですけど、友だちと集まっても“やることがなくなってきたな”みたいな時があったんですよ(笑)。そんな時、ちょうど家にギターがあったので“これ、みんなで弾いてみない?”みたいな感じで、遊びの延長でビートルズのコピーバンドをやってみたりして。そこから自然と楽器を弾くようになりました。
─ その時、高橋さんはどのパートを担当していたのですか?
高橋 母がベースを弾いていたのもあって、家にベースがあったので最初はベースで「イエスタデイ」を練習しました。中学校に入った頃、父がフジファブリックを教えてくれて。“ギターってやっぱりカッコいいな”と思うようになり、フジファブリックのコピーバンドを組んで、自分はギター&ヴォーカルを担当することに決めたんです。
─ 楽器はどうやって練習していたのでしょうか。
高橋 昔から練習は好きになれず、スケール練習や運指練習みたいなことはほとんどしてこなかったんです。中学3年生くらいから曲を作り始めたのですが、そこからはとにかく楽器に触れる時間を増やすようにしました。フジファブリックなど好きな楽曲をコピーして弾く中で、自然と弾けるようになっていった感じです。
─ 今回、お持ちいただいたグレッチのTennessee Roseが、高橋さんにとって初めてのグレッチギターですか?
高橋 そうです。去年、サニーデイ・サービスとの対バンイベントを主催したのですが、その時に曽我部(恵一)さんがグレッチのG6136 White Falconを使っていて。音はもちろん、分厚いボディを弾くギターヴォーカルの姿がとてもカッコ良くて。それを見て、グレッチを本格的に購入しようと考え始めました。
最初はWhite Falconもいいなと思ったのですが、価格帯を考慮してTennessee Roseに決めました。やっぱりそこは重要なポイントですよね。しかも自分の中の“グレッチと言えばこれ!”というイメージがTennessee Roseだったので。
─ 実際にTennessee Roseを触ってみていかがでしたか?
高橋 見た目からはもっと骨太な音が出るのかなと思ったのですが、実際に弾いてみるとシャリっとしたクリアな音から太い音まで幅広く対応できるギターです。僕は普段、Telecasterを使っているのですが、グレッチはテレキャス寄りの音も出せますし、ピックアップを切り替えればしっかりした厚みのある音も出る。海外に行く時でも、この1本があればどんな曲にも対応できる、本当に万能なギターだと思います。
─ 実際の使い心地はどうですか?
高橋 グレッチはボディが分厚い分、手の回り方がテレキャスとは少し違うなと感じました。ただ、もともと(テレキャスを)かなり低い位置で弾いていたので、この丸みのあるボディのおかげで弾く位置が少し上にくる感じがして、逆に弾きやすいと感じました。しかもこのTennessee Roseは指板上部にインレイが表示されているだけなのですが、歌いながら弾くとむしろすごく見やすいんです。これのおかげで、歌いながらの演奏も違和感なくて助かっていますね。
─ 実際にレコーディングやライヴでも、グレッチをよく使っていますか?
高橋 今では本当にメインに近い立ち位置になっています。ニューアルバム『最後の初恋』でもかなり使いましたね。特にアンプに直で差して、アンプ側で歪ませると、何というか“あの頃の音”がするんです。例えば「君の彼氏になりたい。」という曲は、すべてグレッチをアンプ直で弾いた音をレコーディングしました。この曲はコード進行が少し独特というか王道ではないのですが、その空気感にグレッチの音がぴったりハマったなと。歪んでいるけどグシャッとしすぎず、シャリッとしたバランス感が本当にちょうど良いですね。
─ 今回、高橋さんに試奏してもらったElectromatic® Jack Antonoff Signature CVT Double-Cutですが、ファーストインプレッションを聞かせてもらえますか?
高橋 まずは“スイッチが多いな!”と(笑)。しかも、これまであまり見たことがない独特なフォルムですよね。パーツ単体では見覚えのあるものもありましたし、ちょっとJazzmasterにも通じますが、それらが組み合わさって独特の雰囲気を作り出しているな、と。
─ ジャック・アントノフの音楽やプロデュース活動についてはどんな印象ですか?
高橋 今回のお話をいただいてから彼のことを調べてみて、自分も好きで聴いているアーティスト、例えばThe 1975などを手がけていることを初めて知りました。音楽を作る側として、彼がこのギターを求めた理由が実際に使っていくうちに少しずつわかってくるといいなと。“こういう時にこのスイッチが役に立つのか!”といった発見がありそうなので、今から楽しみです。
─ 実際、ライヴやレコーディングなどでどのように使ってみたいと思いましたか?
高橋 普通に使ってももちろんいいのですが、キルスイッチや変わった機能が多いので、そういう特性を活かして飛び道具的な使い方をしてみたいですね。他にも、エフェクターと組み合わせて面白い音作りを試してみたい。もちろん、普通にカッティングも映えそうですし、基本的にTelecasterでできることはほぼこのギターでもできる印象です。とても万能なギターだと思います。
─ どんな人におすすめしたいですか?
高橋 例えば、うちのリードギターの力毅みたいに、ちょっと変わったことをやりたい人にはすごく合うと思いますね。デザインや機能が個性的でありながら、しっかりと良い音を出せるギターなので、遊び心を持ちながらもクオリティの高い音を求める人におすすめします。
左:Electromatic® Jack Antonoff Signature CVT Double-Cut
右:Tennessee Rose※(本人私物)
※商標再取得にともない、2024年9月よりTennessee Rose™からTennessean™へ製品名を変更しております。
Cody・Lee(李)
2018年、大学の友人同士で結成。メンバーは、高橋響(Vo,Gt)、力毅(Gt,Cho)、ニシマケイ(Ba,Cho)、原汰輝(Dr,Cho)。東京を拠点にライヴを行い、ロックファンの口コミからジワジワと注目を集め、2020年には自主レーベル「sakuramachi records」(高橋の出身地・岩手県の地名から命名)立ち上げ。年末にリリースしたアルバム『生活のニュース』のリード曲「我愛你」のミュージックビデオが台湾・アメリカを中心に世界中で話題を呼び、900 万再生を突破。
2021年に入り、映画『サマーフィルムにのって』主題歌に抜擢された「異星人(エイリアン)と熱帯夜」などを立て続けに楽曲を配信リリースし、国内での認知が高まる一方、海外ではラスベガス出身のラッパー兼プロデューサー[1NONLY]が「我愛你」をサンプリングした「COME THRU (feat. Shady Moon & Ciscaux)」が現地でスマッシュヒット。ミュージックビデオへの支持も重なり、世界各地にリスナーの層を拡げることになる。
2022年、ニューヨークを拠点にするコレクティブ88rising から「88rising radio ROOKIE CLASS OF 2022」としてフックアップされるなどバンドとしての勢いが増す中、5 月にメジャーデビューアルバム『心拍数とラヴレター、それと優しさ』をリリース。夏に開催した全国ツアーはファイナルの渋谷O-EASTを含む全8公演がソールドアウトし、〈FUJI ROCK FESTIVAL〉など大型音楽フェスティバルにも多数出演。10 月からはCody・Lee(李)+ミュージシャン[MONO NO AWARE / 水曜日のカンパネラ/時速36km/chelmico]+芸人[松本クラブ/ 9 番街レトロ/ 真空ジェシカ]による全国スリーマンツアーを開催。
2023年2月、台湾・台中で開催される音楽フェスティバル〈浮現祭 -Emerge Fest-〉に出演。自身初の海外公演ながら、メインステージのセカンドヘッドライナーとして、超満員の観客から熱烈な歓迎を受ける。また、4月からスタートするテレビアニメ『江戸前エルフ』にエンディングテーマを書き下ろし。5月からは東京・EX シアターを皮切りに、自身最大規模の全国ワンマンライブツアー〈こnにちはせいかつ。TOUR〉を開催。
2025年、3月21日(金)東京キネマ倶楽部にて対バン企画〈Cody・Lee(李) presents ようこそ!すももハイツへ 3LDK -2025-〉、5月25日(日)日比谷公園大音楽堂にて〈Cody・Lee(李) Live at 日比谷野音〉を開催。