KOHKI(BRAHMAN)SPECIAL INTERVIEW -後編-
7月 31, 2024
頭の中でイメージしたものと同じものを、直結で弾けるギタリストになりたい
パンク/ハードコアをバックボーンに持つBRAHMANと、そのメンバーも含むアコースティックバンド、OAUのギタリストKOHKI。振り幅の広い両バンドの多彩な楽曲を、質実剛健なプレイで支える彼のスペシャルインタビューをお届けする。後編では、彼ならではのギター哲学に加え、来年、結成30周年を迎えるBRAHMANの今後の活動についても聞かせてもらった。
― KOHKIさんがギターを選ぶ時に、まず重視するのはサウンドですか? それともルックスですか?
KOHKI サウンドだと思うんですけど、ルックスがダサかったらやっぱりイヤですよね。ということは、ルックスも重視しているんだと思うんですよ。
― ルックスとしては、トラディショナルなものがお好きなんですか?
KOHKI いえ、その時々のマイブームがあります。同じギターをずっと使い続けることに憧れはあるんですけど、そうならないですね。実はあまり芯がないのかもしれない。何でもいいってわけではないんですけど、ルックスがカッコ良かったら使ってみたいと思うし、たとえ音が合わなくても“どうにかなるだろう”って考え方もあるし。“いやいや、やっぱり音が大事でしょ”って思う時もあるし。自分の中でもあまりはっきりしていないところがあるんですよ。
― そんなKOHKIさんは、今後、どんなギタリストになっていきたいと考えていますか?
KOHKI うーん、自分でもわからないですね。でも自分の中には、言葉にして伝わるかわからないけど段階みたいなものがあって、自分の頭の中にあるフレーズとか雰囲気を、そのまま再現できたら最高ですよね。だから、頭の中でイメージしたものと同じものを直結で弾けるギタリストになりたいです。
― そのために今現在も努力されていることはありますか?
KOHKI 努力ってことではないけど、毎日欠かさずにギターに触るようにしてますね。テレビを見ながら弾いたりもします。最近、YouTubeを見ていると、プロアマ問わずギターを弾いている映像が出てくるじゃないですか。それを見ながら“こんな難しいこと全然できねえな”とか“こういうのやったほうがいいのかな”とか思いながら、毎日楽しんでますよ。
― 今後の活動についても聞かせてください。
KOHKI 来年、BRAHMANは30周年を迎えるんですけど、アルバムのリリースに向けて曲作りをしながら、レコーディングをしているところです。
― そうなんですか! 前のアルバム『梵唄 -bonbai-』のリリースが18年2月だったので、そろそろ新しいアルバムのことも考えているんじゃないかと思っていたところでした。
KOHKI そうなんですよ。いい加減もうだいぶ空いちゃいましたからね。
― なるほど。じゃあ、今年の後半はアルバムを作りながらライヴもやっていくと?
KOHKI そうですね。今のところ11月4日に横浜BUNTAIでのワンマンライヴが決まっています。
― そのライヴのタイトル〈六梵全書 Six full albums of all songs〉が気になるのですが。
KOHKI ははは。期待していてください。
― まだ作っている最中ではあるんですけど、今のところどんなアルバムになりそうですか?
KOHKI まだ、わからないですね。もちろん、いきなりテクノポップみたいになることはないと思いますけど(笑)、それでもやっぱり新しいことは入れてみたい。ただ、その新しいことが何かって言われるとわからないですけどね。
― 30年におよぶキャリアを持つKOHKIさんから見て、現在の音楽シーンについて思うことなんてありますか?
KOHKI 今はYouTubeもあるしサブスクもあるし、聴きたいと思ったらほぼ何でも聴けるじゃないですか。でも、僕らが若かった頃は、聴きたいと思ったらレコード屋に走るしかなかった。でも、その走る過程が楽しかったんですけどね、僕は。だから、今は便利なぶん失っているものもあるのかな。ギターを学ぶにしても、YouTubeをはじめ情報がいっぱいあるから、調べればすぐに教えてもらえるじゃないですか。羨ましいですよね。でも、情報が多すぎて“こうやらなきゃいけない”ってみんな洗脳されている感じはありますけどね。
― あー、なるほど。
KOHKI もっと自分の好きにやればいいのにって思います。“自分がやろうとしてることは間違ってるんじゃないか”って思っちゃう人もいるんじゃないですか。本当はこうしたいのに、これはやっちゃいけないとか、理論的にはなしとか言われるもんだから、その自由度はなくなっている気がしますね。だから、みんな同じになってきている。もちろん上手いですよ。素晴らしいんですけど、個性がちょっと減ってきているのかなって気はしますね。
― 変な人があまりいないですよね。
KOHKI 昔はやり方がわからないから、自分のやり方でやっている人がいっぱいいましたからね。僕も耳コピばかりしていました。洋楽とかマニアックなバンドだとタブ譜もないから、耳コピするしかないわけですよ。だから何回も聴いてやるんですけど、全然違ったりする。で、あとから実はこうだったんだってわかる。でも、それが良かったりするんですけどね。
― そういうところにも学びがある、と。今のお話につながるところもあると思うのですが、これからギターを始めようと思っている人、あるいは始めたばかりの人にアドバイスをするとしたら?
KOHKI 自分は本当はこれがやりたい、という気持ちだけでいいと思うんですよね。人から違うとかダメだとか言われたとしても、自分が楽しいと思うことをやるのが一番。あまり情報に左右されないようにしたほうがいいと思います。それだけですね。
左:G6131T-62 Vintage Select ’62 Jet™ with Bigsby®, TV Jones®, Vintage Firebird Red
右:White Falcon(本人私物)
KOHKI(BRAHMAN、OAU)
95年、東京にてBRAHMAN結成。96年に「grope our way」をリリース。97年にKOHKIが加入し、翌年にリリースした1stアルバム『A MAN OF THE WORLD』は異例のセールスを記録。以降、パンクムーブメントを牽引する。2005年にはアコースティックバンドOAU(OVERGROUND ACOUSITC UNDERGROUND)を結成し、BRAHMANと並行して活動を続けている。2024年11月4日(月・振休) 横浜BUNTAIにてワンマンライヴ〈六梵全書 Six full albums of all songs〉を開催。