後藤輝基(フットボールアワー)SPECIAL INTERVIEW -後編-

6月 9, 2024


 

最近は毎日時間を作って弾いていますね。

高校生ぶりじゃないですか。こんなに指が痛いの(笑)

 

テレビのバラエティ番組でギターを弾く姿を目にした人は少なくないだろう。ネタ要素もあるものも含め、音楽活動にも意欲的に取り組むお笑い芸人、フットボールアワーの後藤輝基がインタビューに登場。後編では、今回試奏したG6609TG Players Edition Broadkaster Center Block Double-Cut with String-Thru Bigsby(以下:Broadkaster)のインプレッションと、近頃、後藤の中で再燃してきたというエレキギター熱について聞いた。

 

― 本日、試奏していただいたBroadkasterは、いくつかある候補から後藤さんご自身が選んだそうですね?

後藤輝基(以下:後藤) 正直、Broadkasterに目が行ったことは、すみません、今までなかったんです。だから、どんなギターなんだろうという興味から選ばせてもらいました。僕の中の勝手なグレッチ像の中で、もしかしたらどっちつかずになるんじゃないかという気がして、それを確かめたかったんです。ボディの薄さとか、センターブロックが入っているとか、ハウリングしない工夫はされているけど、グレッチらしい音はちゃんと鳴るんだろうかっていう。

 

― 実際、弾いてみていかがでしたか?

後藤 グレッチの音がしっかり鳴ってました。ピックアップに新しいフルトロンが載っているじゃないですか。そんなんあるんだって。そのスペックがすごく気になって選んだところもあるんです。従来のグレッチのピックアップに対して、僕はそんなに音が細いとは思ってなかったですけど、世の中の声としてはあるわけじゃないですか。それでこのフルトロン、どんな音が鳴るんだろうって弾かせてもらったらパワーもあって。本当はクリーンで弾いて、ボリュームで歪ませるっていうところがおもしろいんでしょうけど、僕が弾いた印象で言うと、エフェクター乗りがすごくしそうで、いろいろと試したくなるギターでした。

 

― 試奏しながら、弾きやすいとおっしゃっていましたが。

後藤 Bo Diddleyを弾いていたら、どれも弾きやすいですよ(笑)。でも、それこそボディの厚さがある時点で、単純に弾く場所が遠くなるわけだから、魅力の反面、それを弾きづらさと捉える人もいると考えれば、これはもうめちゃくちゃ弾きやすい。ほぼソリッドですよね。セミホロウって言うんですか。ほぼソリッドの感覚で弾ける。それでいてfホールがあるというギターの形の美しさに加え、ハウリングもしないってなったら最強に近いし、グレッチの中で白と言ったらWhite Falcon以外考えられないんですけど、これ、すごくいい。バインディングがゴールドスパークルじゃないグレッチの白いギターって、僕は初めて対面したので、すごくいいなと思いました。でも、見たら、もういじりたくなってくる(笑)。

 

― どこに手を加えたいですか?

後藤 グレッチのカスタムショップのビルダーが、こんなギターが入荷しましたって試奏している映像が海外のサイトに山ほどあって、それを毎晩のように見ているんですけど、このBroadkasterでピックアップを3発入れてるやつがあるんですよ。あれがフルトロンを使っているのか、もうちょっと以前のモデルでフィルタートロンなのかわからないですけど。

 

― フィルタートロンらしいです。

後藤 フィルタートロンを3発入れてるやつと、フィルタートロンの間にダイナソニックを入れてるやつもありますよね。それをやりたい。あとトグルスイッチが、なんか知らんけどめっちゃ好きで。トグルスイッチってカッコ良くないですか。昔のグレッチも、これ何に使うの?っていうトグルスイッチがけっこうあるんですよ。僕がやってるカスタムでも、トグルスイッチを12個ぐらい付けるって案もあって、何のスイッチなのってなったら読書灯が点くとか、ライターの火が点くとか(笑)。まだやってないですけど、ピックアップを3発入れて、トグルスイッチを3つにして、オン/オフを切り替えたりしてみたいですね。

 

Goto Special Interview B2

 

― お話を聞いていると、後藤さんがギターを手に取る上でルックスはかなり重要な要素なんですね。

後藤 めちゃくちゃ大事です。こんなことを言っていいかわからないですけど、(今日持ってきた)Bo Diddleyも番組に持って行ったら“弁当箱みたいでダサい”と言われたんです。でも、何かのフェスだったかに持って行ったら、斉藤和義さんがめっちゃカッコいいと言ってくれて、めちゃくちゃ嬉しかったです。特にグレッチは、見た目の美しさがある。それこそこんなにラメが似合うギターってなかなかないでしょ。もちろん、他のメーカーにもあるけど、ここまでギラギラのラメを入れてるギターってない。横山健さんのKenny Falcon IIもね。ボディもバインディングもラメって、そんなギターは他にないですよ。でもそれがハマる。そこは他のメーカーにはないグレッチならではの魅力ですよね。

 

― 今後、ギター弾き語りのアルバムを作ってみようとは思いませんか?

後藤 どうなんやろな。でも、今はアコースティックギターよりもエレキギターに興味があるので、楽器屋さんに行って試奏する時、恥ずかしくないぐらいは上手くなりたいですね。“いやいや、弾けるやん”とか言われるんですけど全然全然。もっと上手くなりたいです。僕らが10代の頃にはなかったYouTubeがギターの先生なんですけど、世に出ていなくても、こんなに上手いんだって人がいっぱいいるじゃないですか。そういうのを見ると、もうギター辞めよう、恥ずかしいわって思う時もあるんですけど、いやいやと思い直して。“ある程度弾ける”で止まって、そこから逃げていたところを、最近は毎日時間を作って弾いていますね。

 

― どんな練習をしているんですか?

 

後藤 いや、ほんまに指の幅が広がるようにドレミファソラシドを弾いたりとか、ペンタニックがどうとか、スケールをもう1回ちゃんと勉強し直したりとか、同じリフを繰り返しずっと弾いたりとか、ほんま基本中の基本みたいなことをやってます。高校生ぶりぐらいじゃないですか。こんなに指が痛いの(笑)。

 

― では、最後にギターのビギナーにメッセージをお願いします。

後藤 僕みたいなもんが偉そうに言える立場ではないですけどね。もちろんプレイも含めてなんですけど、見た目もすごく大事だと僕は思っているので、世の中にこんなにたくさん魅力的なギターがあるんだから、それが安い高いに関わらず気に入ったギターを買ってもらってですね。もちろん、それを弾き込んでいくことも大事ですけど、練習が一回終わったらギタースタンドに立てて、コーヒーなのかお酒なのかわからないけど、飲みながら、そのスタンドに立っているギターを目で愛でる。見て楽しむこともやってほしいなと思います。ギターを始めたばかりの皆さんと同じ感覚というか、地道な練習が続いていると思いますけど、それがいつか日の目を見ることを信じて。でも、コードを5個覚えたら、エレキやったら一曲バンって弾けますからね。そこも楽しみつつ、地道な練習をもうちょっと一緒にやっていきませんかって声をかけたいですね。

 

Goto Special Interview A3

 

左:G6609TG Players Edition Broadkaster Center Block Double-Cut with String-Thru Bigsby

右:Bo Diddley(本人私物)

 


 

後藤輝基

NSC大阪校14期生。1999年4月、フットボールアワーを結成。相方は岩尾望。2000年に『第21回 ABCお笑い新人グランプリ』で最優秀新人賞、2001年に『第32回 NHK上方漫才コンテスト』最優秀賞を獲得。『M-1グランプリ2001』の決勝にも進出し、2002年に準優勝、2003年に優勝を果たす。吉本興業制作の映画『ニュース』では監督を務め、自身も出演している。趣味はハーモニカ、料理、特技はギター。音楽活動としては、2022年5月に藤井隆の全面プロデュースにて初のカヴァーアルバム『マカロワ』をリリース。2024年05月17日にはカヴァーアルバム第二弾『ホイップ』をリリース。6月から〈後藤輝基“ホイップ”ツアー2024 plus 藤井隆!〉を開催。

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