和田唱(TRICERATOPS)SPECIAL INTERVIEW -後編-
1月 20, 2026
今でもね、50歳の僕は鏡の前でギターを構えてるんですよ(笑)
ギターに導かれ、音楽に救われてきた半生。その延長線上で迎える50歳という節目に、和田唱はいま何を思うのか。インタビュー後編では、試奏してもらったG6128T-53 Vintage Select ’53 Duo Jet™ with Bigsby®, TV Jones®, Blackについて、これからの表現活動、そして若い世代へ伝えたいメッセージまで語ってもらった。
― 今回、G6128T-53 Vintage Select ’53 Duo Jet with Bigsbyを試奏していただきました。
和田唱(以下:和田) このDuo Jetは、僕が前回お話しした、デビューした頃に手にしていれば良かったなと思っている“Silver Jet”の元となるギターです。なんで“デュオ”なのか? その答えはピックアップが二つだからです。当時はまだピックアップが1個のギターも多くて、2個付いているギターはランクが高かったんです。つまりピックアップが二つ付いているからDuo Jet。それまでのグレッチは基本的に大きいボディで、ホールが空いているモデルが多かった。でもDuo Jetはボディも小ぶりで、一見ソリッドに見える。でも実は中はほとんど空洞なんですよ。だから見た目より全然軽い。
― 軽いとライヴでも疲れないですよね。
和田 ですよね。実は数年前、改造したTennesseanを買う時、ビンテージのDuo Jetと本気で迷ってたんです。いろんな楽器屋さんで何本もDuo Jetを弾きましたもん。買う気満々で。でも毎回”考えます!”なんて言って取り敢えず帰る(笑)。
― (笑)。
和田 その時、すごくいい店員さんがいて。“Duo Jetにするかな”ってほぼ決まりかけてたんですけど、その直後にこのTennesseanに出会ってしまって、俄然気持ちがそっちになっちゃった。でも僕の中でDuo Jetは、変わらず“憧れの1本”なんですよ。もちろんその時期、Silver Jetも何本か弾いて、必ず店員さんにスマホを渡して“弾いてるところ撮ってください”ってお願いするんです。それを家に帰ってしげしげと眺める(笑)。“本当に俺に似合ってるか?”って。僕、ギター買う時ってめちゃ吟味するんですよ。で、Silver Jetって文字通り銀色なので、意外と膨張色で。角度によってはボディが白っぽく大きく見えちゃうんですよね。あれだけ憧れてるのに、写真で見ると“あれ!?”って思うこともあって。その点、Duo Jetは黒なので。黒は間違いない。
― ええ。
和田 で、このモデルですね。ネックの感じがめちゃくちゃ良かった。すごく弾きやすい。昔のギターの復刻モデルにありがちなのが“ネック太すぎ問題”。“何でここまで太いの!?”っていうのがよくある。だから今回も“きっとネック、ごん太なのかな?”って思いながら弾いたけど、全然大丈夫でした。それでテンション上がっちゃった。決して薄いわけじゃないけど、太すぎない。僕好みです。
― オリジナルのDuo Jetと比べると、今回のモデルはアップデートされています。わかりやすいところで言うと、当時のモデルにはビグスビーが付いていませんでした。
和田 ですよね。これ、めちゃくちゃカッコいいです。あと、当時のやつは“メリタブリッジ”も特徴的で、すごくゴツい。オクターブ調整のためには、当時の技術ではあれくらいゴツくするしかなかったんでしょうね。でも見た目はカッコいい。ただ、弾いてみるとゴツすぎて、ブリッジに手が置けない(笑)。その点、今回のモデルは改良されていてすごくいいですね。ちなみにオクターブ調整ができるっていうのは、要はブリッジのコマが弦ごとに動かせるということ。でも、そうすると部品が多くなる。チューニングは良くなるけど、音のパンチが少し分散するんですよ。これはセパレートされていない分、音の強さはあると思います。ちなみにピックアップはTV Jones(TV Jones T-Armond)なんですよね?
― はい。
和田 TV Jonesって、昔のサウンドを再現することに力を入れているメーカーですよね。僕の緑のDouble Anniversaryに付け替えたのもTV Jonesですよ。
― 他に今回のDuo Jetで惹かれたポイントは?
和田 ヘッドが小振りなところが好きです。Tennesseanとかは少し大きいですけど、ペグは小さい。グレッチのペグっていい意味でちょっとしょぼい。裏が見えるオープンバック・タイプも多くて、コンパクトなのがいいんですよ。だからヘッドが軽い。これが僕には大事で。サステイン重視の人は、あえて重いペ
グを付けたりするんですけど、僕はそうじゃない。何よりギターを構えた時、手を離すとヘッド側に倒れていくのが一番嫌で。MC中とか、ズルズル…って(笑)。手を離しても、そのままそこにステイしてほしい。その点でもこのギターは本当に良いですね。
― 今の和田さんにとって、理想に近いギターですか?
和田 かもしれないですね。ストラトのことを“ベルサウンド”って言ったりしますけど、Duo Jetはまさにそれ。クリーン寄りの音、カッティング、ちょっとソウルっぽい曲とか、すごく合うと思う。でも、歪ませるのもいい。元が繊細だから、少しダーティでグランジっぽくなる。それがいい。むしろロックというか。ガレージっぽくなるんですよ!
― ぜひこちらのDuo Jet、使っていただきたいですね。
和田 この間、ちょうど僕の50歳の誕生日のワンマンが終わっちゃったよ(笑)。バンド編成だったから、そこで使いたかったなぁ…。あと、フロントピックアップでクリーンにして、一人ステージで少しジャズっぽいことをやるのもいいですよね。グレッチって、どうしても“リーゼント”、“50’s”、”ロカビリー”みたいなイメージがありますけど、僕はそこを少し壊したい。絶対にジャズにも合うし、ファンキーな音楽にも合う。なぜかみんなブライアン・セッツァー的なイメージに行っちゃうけど、僕はあえて違う使い方をしたいんです。
― もちろんロカビリーもいいですけど、昔はジャズギタリストも使っていましたし、いろいろなジャンルで使えるギターだと思います。
和田 そうなんですよ。あー!でも僕も今日は革ジャンだ!! やっぱりちょっと寄っちゃった。さっきまで家ではニットを着てたのに(笑)。それだけグレッチは引力が強いんですよ。

― さて、2026年はどんな一年にしたいですか?
和田 僕、12月生まれなので、そこからの1年間を“50歳イヤー”にしようかなと思って。なにかとフィフティ・アニバーサリーと銘打って(笑)、思い出に残る50代のスタートにしたいですね。
― TRICERATOPSは今は一旦お休みなんですよね?
和田 そうです。“早く復活してくれ” って言われるんですけど、まだ活動休止してたったの1年ですから(笑)。
― 確かに。
和田 レミオロメンが今回14年ぶりに復活するじゃないですか。じゃあ俺らも14年寝かせたら、ピッタリ「When I’m 64」(ザ・ビートルズの名曲)になっちゃう(笑)! 初老バンド! ♪When I get older losing my hair Many years from now…みなさんお久しぶり〜、みたいな(笑)。しばらくは、自分のソロのバンドと一人ステージをやっていきます。去年、自分名義のバンドでライヴを初めてやって。若いメンバーと4人編成で。それがすごく楽しくて、いろんな可能性に気付けたんですよね。
― 楽しみです。
和田 それと、少し前にミュージカルの作曲もやったんです。これがね、すごく楽しかった。当然チームの中で僕だけロック畑出身で、周りは完全にミュージカルの世界の人たち。演出の方に“アコギの弾き語りデモが来たのは初めてです”って言われました(笑)。でも、役柄ごとに声色を変えて歌って重ねて録ったりして、すごくクリエイティヴで楽しかった。最終的に思ったのは、僕にとっては、どんな仕事でも“ギターが相棒”だってことです。もう本当にね、ギターがなかったら僕はどうなってたんでしょう。稽古場にもギターを持って行ってましたから。ギターさえあれば細かなコード展開や音程の指示ができる。
― そんな和田さんから、これからギターを始めたい人へメッセージを。
和田 今って、ギターを始めるハードルがすごく下がっていると思います。昔のペラペラの合皮のギターケースって、なんかモテない感じがあったじゃないですか(笑)。でも今は“ギグバッグ”で、リュックみたいに背負えてオシャレ。ロックバンドも、僕が始めた頃よりも全然ポジティヴに見られている気がする。それを証拠に、中1の甥っ子が最近ギターを始めたんですよ。Fender Flagship Tokyoに一緒に買いに行って。まだ若いのに、惹かれるものがあるんだなぁって思いました。ギターを持っていると強くなれる気がしたんですかね。今ではもう夢中で、家でもずっと弾いてるらしいです。だから若い人たちに言いたいのは、“楽しいよ”ってこと。音楽が好きで、でも自分にどこか自信が持てない子にはもってこいですよ。ピアノと違って持ち運べるし、“ギグバッグ”に入れてどこでも持って行ける。あと、思春期にギターに夢中になって鏡の前で立ち姿を見ちゃうあの感じ。僕ね、50歳の今でもやってますから(笑)。ギターってそういう魔力があるんですよね。だから始める人は覚悟してください。その魔力にハマると永遠に抜け出せませんから!

G6128T-53 VINTAGE SELECT ’53 DUO JET™ WITH BIGSBY®
和田唱(わだ・しょう)
1975年生まれ。1997年メジャーデビューしたロックバンド、TRICERATOPS(トライセラトップス)のボーカル、ギター。作詞作曲も担当。ポジティブなリリックとリフを基調とした楽曲、良質なメロディセンスとライブで培った圧倒的な演奏力が、幅広い層から大きな評価を集めている。2018年からソロ活動も開始し、これまで『地球 東京僕の部屋』『ALBUM.』『BIRDMAN』と3枚のアルバムを発表し、2025年1月のTRICERATOPS無期限活動休止以降もソロを中心に多彩な活動を繰り広げている。
一昨年上演された「Musicalのだめカンタービレ」の音楽も担当し、他アーティストへの作品提供も多数。
弾き語り2マン自主企画「Two Chairs」、バンドを従えたソロツアー、カバーに特化した「和田唱 SOLO -COVERS-」など単独ライヴも多岐にわたる。2026年2月にはソロライヴ〈和田唱 SOLO -COVERS vol.3-〉を東京、大阪で開催。春にはバンドツアーも予定されている。
